教材教具の紹介
前庭覚に回転刺激を入れる教材「スピンボード」
「感覚統合」の考え方で、回転刺激は三半規管にある前庭覚という初期(基礎)感覚に作用して、覚醒レベルを高めたり、生理的不快(お腹空いた、眠い、喉が渇いた、気圧の変化でなんとなく調子が悪い、など)による情緒の乱れをコントロールする力や眼球の動きをコントロールする力を育てたりします。
またそういった前庭覚への刺激を含む、初期(基礎)感覚への刺激を求めて、自分でも理由がわからずに授業中に離席してしまうお子さんもいます。(保護者のみなさんや先生方もお困りだと思いますが、実際、一番困っているのはお子さんだったりします。)
本校でも上記のねらいからオフィスにあるような回転椅子を使ってお子さんに回転刺激を入れているのですが、姿勢を保つ力が弱かったり、上体を動かしてしまったりするお子さんについては、回転軸がぶれてしまって回転椅子ごと転倒してしまう恐れがあるので使えませんでした。
また日高市の特別支援学級の担任の先生から前庭覚に回転刺激を入れられるような教材教具が学校にないのでどうしたらよいか、というご相談をいただいていました。
そこで姿勢を保てなかったり、上体が動いたりしてしまうお子さんにも安全に使用でき、かつ特別な木工機械を必要とせずに簡単に作製できる「スピンボード」を考案しました。
もしご指導なさっているお子さんに「生理的不快に情緒が左右される」「手を目の周りでひらひらさせている様子が見られる」「斜にモノを見ることが多い」「追視が見られない」「覚醒レベルが低い」「授業中に離席が多い」などの様子が見られましたら、試しに取り組んでみるのもよいと思います。(ここに述べたような様子にはお子さんによっていろいろな要因がありますので、この取り組みですべて解決するわけではありません。)
下記にセッティングの仕方・使い方を動画で、材料・作り方を画像でお示ししていますので、必要に応じてご活用ください。
また作ってみて、使ってみての感想をコメントで頂けると、今後の改良のヒントになりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
【参考文献】 「保育者が知っておきたい 発達が気になる子の感覚統合」木村順(著) Gakken