自立活動部の概要

 今年度は、小学部3名、中学部1名、高等部2名、自立活動専任2名の計8名の体制となりました。各学部との連携をより深めながら本校の自立活動を推進する体制を維持しつつ、日々の指導を支えます。

 自立活動専任は、自立活動に関する各種の相談への対応を通して、子どもたちの日々の学びの場にも深く関わりをもちます。

 自立活動部として全職員向けの基礎研修、食事指導に関する研修、プール指導研修、姿勢づくり研修、反射・反応に関する研修(仮)、感覚統合に関する研修、感覚と運動の高次化理論研修など自立活動にかかわる研修の実施や学習会の開催、自立活動流れ図の推進と定着を目指した丁寧なフォローアップなどの具体的な業務を前向きに推進してまいります。

自立活動 教材紹介

教材教具の紹介

校内研修「感覚器としての足を育てる指導」

昨年12月26日に希望者を募り、研修「感覚器としての足を育てる指導」を行いました。

講師は本校自立活動専任の中島(秀)教諭です。

感覚器としての足を育てる意味として

①姿勢を安定して支える「Base of Support」としての足底を育てる。

②姿勢のコントロール(足裏の情報から安定した姿勢をつくる。)

③足裏への刺激を脳が感じることで、その情報をもとに筋の活動を適切に調節するため、全身の筋の緊張が整う。

という講義で理論を学び、その後、その理論を実感するために教員同士で触れ合う実技を行いました。

参加した教員からは「とてもよい学びになったので、児童生徒の自立活動の指導に活かしていきたい」という声が多く聞かれました。

 

フィボナッチツリーについて

自立活動専任のN教諭が「フィボナッチツリー」という教材を見つけてきました。

お子さんたちの目の使い方で「視線が合わない」「斜めにものを見ている」「目の中心ではなく周辺でものを見ている」「手を端で見える位置でひらひらさせて遊んでいる」ということはないでしょうか。

お子さんの視覚的なもののとらえ方には、視線を真っすぐ対象に合わせて見る「中心視」と、視線を対象物に合わせずに目の周辺部で見る「周辺視」があります。

中心視「色や輪郭、形」「静止しているもの」を捉えやすく、一方で周辺視「明暗の変化」「動いているもの」を捉えやすいという特性があります。(これらをふまえると、太陽に手をかざしてひらひらさせて遊んでいるお子さんが、どうしてそういう行動をするのかという説明がつきますね。)

ここでご紹介するフィボナッチツリーは竹トンボの要領で軸を回すと各パーツが動き、軸を止めると静止した「ある形」になる教材教具です。

周辺視しているお子さんの視界の端の方でフィボナッチツリーを回して、その後、ピタっと止まって「ある形」になると視線をフィボナッチツリーに視線を合わせる様子(=中心視)が見られることがあります。

(もちろん、すべてのお子さんにとって有効なわけではなく、フィボナッチツリーに興味関心が向かなかったり、平衡感覚のうちで眼球をコントロールする感覚が十分に育っていないお子さんに関しては中心視を引き出せない場合があります。)

対象の見方を中心視に引き出す手立ての一つとしてフィボナッチツリーを自立活動の中で利用していきたいと考えています。

 【参考資料】「保護者が知っておきたい発達が気になる子の感覚統合」 木村順著 Gakken

 

ボールプールについて

ボールプールは枠(囲い)の中にたくさんのボールが入った教材教具です。

たくさんのボールの中で身体を動かすことで、全身の皮膚や筋肉、関節に刺激が入り、自分の身体の輪郭(自動車で言うと車体感覚ですね)やその時々の手足の位置関係を把握する力を育てることなどを目的に使われます。

事務室から3000個のボールを買ってもらっていたのですが、とにかく枠が高額なのでどうしたものかと考えていたところ、体育科から廃棄する予定の体操マットを譲り受けることができ、5枚のマットを組み合わせて枠を作ることができました。

設置してみてわかったことは、とにかくみんなボールプールが大好き。自立活動の時間はもちろん、遊びの時間にも児童生徒が入って遊んでいます。

ボールプールが児童生徒の発達の一助になったらと考えています。

 

↓ まずはボールから受ける刺激を感じ取っています。

ボールからの刺激を静かに受け止めています。

↓ 教員がボールプールの中で脚を動かしています。自分でも上肢を動かしてボールの感触を確かめています。

スピンボードとバランスボード「たてゆれ・よこゆれ」を増産しました。

たくさんの児童生徒に使っていただいているスピンボードとバランスボード「たてゆれ・よこゆれ」ですが、これまでは自立活動専任所有の2台ずつしかありませんでした。

そんな中で「バランスボード借りたいんですけど・・・」「スピンボード借りたいんですけど・・・」という声が多く聞かれましたので、事務室に材料代をなんとか捻出してもらい、2台ずつ学校所有の教材として制作することができました。

これで本校のスピンボードとバランスボードは4台ずつになりました。

より多くの児童生徒に使っていただき、児童生徒の成長発達に役立てていけたらと考えています。

1人で座位がとれないお子さんに安全に揺れ刺激を入れられるバランスボード

本校の自立活動の指導に感覚統合の考え方が反映されることが多く見られるようになってきました。

特に前庭覚刺激(前後左右上下の揺れ・回転)は生理的不快(ねむい・おなかすいた等)からくる情緒の乱れをコントロールするとともに、自分の身体の傾きを感じ取ってバランスを取ろうとする力、眼球をコントロールする力を育てます。

そういう意味で前後左右の揺れ刺激を入れられるブランコは大人気なのですが、そのブランコも本校には1台しかなく、前後左右の揺れ刺激を入れたくても、ブランコが空いていないために取り組めないお子さんがいます。

本校には他に前後左右の揺れ指摘を入れることができるバランスボードという教材教具もあるのですが、1人で座位が取れないお子さんが使用する際には、下にお示しする動画で説明しているように人手を必要とする上に、転倒のリスクやお子さんにとって適切な強さ・速さの揺れ刺激を入れにくいというデメリットがあります。

そこで1人で座位が取れないお子さんが安全に前後左右に揺れ刺激を入れられるバランスボードを2台制作してみました。

お子さんたちのよりよい成長を後押しするものになればいいと考えています。

自立活動専任 笠井国男

 

 

 

前庭覚に回転刺激を入れる教材「スピンボード」

 「感覚統合」の考え方で、回転刺激は三半規管にある前庭覚という初期(基礎)感覚に作用して、覚醒レベルを高めたり、生理的不快(お腹空いた、眠い、喉が渇いた、気圧の変化でなんとなく調子が悪い、など)による情緒の乱れをコントロールする力や眼球の動きをコントロールする力を育てたりします。

 またそういった前庭覚への刺激を含む、初期(基礎)感覚への刺激を求めて、自分でも理由がわからずに授業中に離席してしまうお子さんもいます。(保護者のみなさんや先生方もお困りだと思いますが、実際、一番困っているのはお子さんだったりします。)

 本校でも上記のねらいからオフィスにあるような回転椅子を使ってお子さんに回転刺激を入れているのですが、姿勢を保つ力が弱かったり、上体を動かしてしまったりするお子さんについては、回転軸がぶれてしまって回転椅子ごと転倒してしまう恐れがあるので使えませんでした。

 また日高市の特別支援学級の担任の先生から前庭覚に回転刺激を入れられるような教材教具が学校にないのでどうしたらよいか、というご相談をいただいていました。

 そこで姿勢を保てなかったり、上体が動いたりしてしまうお子さんにも安全に使用でき、かつ特別な木工機械を必要とせずに簡単に作製できる「スピンボード」を考案しました。

 もしご指導なさっているお子さんに「生理的不快に情緒が左右される」「手を目の周りでひらひらさせている様子が見られる」「斜にモノを見ることが多い」「追視が見られない」「覚醒レベルが低い」「授業中に離席が多い」などの様子が見られましたら、試しに取り組んでみるのもよいと思います。(ここに述べたような様子にはお子さんによっていろいろな要因がありますので、この取り組みですべて解決するわけではありません。)

 下記にセッティングの仕方・使い方を動画で、材料・作り方を画像でお示ししていますので、必要に応じてご活用ください。

 また作ってみて、使ってみての感想をコメントで頂けると、今後の改良のヒントになりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

【参考文献】 「保育者が知っておきたい 発達が気になる子の感覚統合」木村順(著) Gakken

 

 

自立活動授業風景等

自立活動授業風景&学習会報告

中学部・虹グループの自立活動の様子

足首にかたさがあるお子さんへのアプローチを行っています。

膝が曲がらないように押さえた状態でかかとを手前に引きつつ、前腕部でつま先周辺を軽く押し込んで足首に入っている力を緩めて背屈するように誘導しています。

足首がかたく、尖足(つま先立ち)気味なので、足首をしっかりと曲げて足裏をマットにつけて踏みしめる練習もあわせて行っています。

足裏がしっかりマットにつくように足の甲を支援しつつ、膝を手前に放物線を描くように引いて足裏でマットを踏みしめるように促します。

お子さんも教員の動きに応じて腰を少し浮かせて軽くブリッジのような姿勢をつくり、足裏でしっかり踏みしめています。

歩行動作の前に横になった状態でこのような学習を行い、よりよい動きを引き出すよう努めています。

0